会社側のよくある反論

以下、会社側からなされるよくある反論についてご紹介します。
 

ア 残業そのものに対する反論

① 勝手に残業していた

まず、使用者が残業を命じておらず、労働者が勝手に残業していたというものです。
しかし、使用者が明示的に残業を命じていなくても、黙示的でも構わないとされているため、明示的に禁止し、労働者の残業を止めていたなどの特別な事情がない限り、比較的残業と認められやすいです。
 

② トイレや喫煙、飲み物を飲むなどで離席することがあった

トイレなどの生理現象で労働時間が控除されることはまずありません。
また、喫煙や飲み物を飲むことについても、短時間であれば黙認されている事業所も多いと思われ、休憩とは扱われないことが多いと思われます。そうであれば、残業代を控除されません。
 

③ 残業する必要がなかった

残業の必要性については、労働者側でもきちんと説明する必要があります。残業する高い必要性までは必要なくとも、全く必要なければ認められない可能性もありますので、その点についてはきちんと主張する必要があります。
 

イ 残業していても支払う必要はないとの反論

① 年俸制である

「年俸制」という給与制度を導入しているために、残業代を支払う必要がないと主張されることがあります。年俸制により、年単位で給与の総額を支払っているため、残業代を支払う必要がないというものです。
しかし、「年俸制」というだけでは、残業代を支払わなくてもいい理由にはなりません。変形労働時間制、裁量労働制、高度プロフェッショナル制度など、特別な制度を利用していない限り、残業をした分だけ残業代をする必要があります。
 

② 管理職である

管理職であるから、残業代を支払う必要がないと主張されることもあります。これは、法的には労働基準法41条2号の管理監督者と呼ばれる地位にあることを主張するものだと思われます。
しかし、労働基準法41条2号の管理監督者の要件は厳しく、単なる中間管理職では認められないことが一般的です。事案にもよりますが、役員や経営陣の一歩手前くらいでようやく管理監督者だと認められることが多いです。
なお、管理監督者に該当した場合であっても、深夜(午後10時~午前5時)に労働した場合は、割増賃金は支払わなければなりません。
 

③ 固定残業代として支給済みである

最近多いのが、「固定残業代」という制度です。これは、毎月固定で支払われている給料に、一定の残業代が含まれているというものです。
これは、一定の要件が認められれば、残業代として控除されてしまいますが、要件を満たしていないケースもよく見られます。多いのが、何時間分の残業代なのか明示されていないケースや、固定残業代を控除すると最低賃金を下回ってしまうようなケースです。また、例えば100時間分の残業代を含むなど、過労死するレベルの時間を固定残業代として定めているケースもあります。このような場合は、無効とされる可能性は十分にあります。
また、例えば30時間分の固定残業代として支給されていた場合でも、30時間を超えた分は当然に請求することができます。
 
その他にも、使用者から様々な反論がなされる場合があります。そのような反論にきっちりと対応していくためにも、当事務所にご相談下さい。